もちきのめも帳

大学院試験の勉強の過程で得た知識を備忘録として書いていきます。

微分方程式の解法【オイラーの微分方程式】

オイラー微分方程式【導出】

こちらは難しい中でも頻出の微分方程式かと思います。特に私がやっている限り、東京大学工学院研究科の教養数学では何度かでているように見受けられます。東大志望は必須かもしれないですね。こちらがその微分方程式です。

$$x^2 \frac{\mathrm{d}^2 y}{\mathrm{d}x^2} + ax\frac{\mathrm{d} y}{\mathrm{d}x} + by = R(x)$$

 a,bは定数、右辺はxの関数として表されます。初見ではかなり面食らいますが、少し演習が多い参考書などですとたまに載っていたりします。この微分方程式は次の置換を利用して解きます。

$$t = \log x$$

 それでは解を導出していきましょう。まずはこの置き換えの式を両辺をxで微分します。

$$\frac{\mathrm{d}t}{\mathrm{d}x} = \frac{1}{x}$$

すなわち

$$\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}x} = \frac{1}{x}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t} $$

xによる一階微分の式が得られました。次に二階微分も求めましょう。両辺をもう一度xで微分します。

$$\frac{\mathrm{d}^2}{\mathrm{d}x^2} = \left(-\frac{1}{x^2}\right)\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t} + \frac{1}{x}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}x}$$

xによる一階微分を先ほど求めたものを代入すれば、

$$ \frac{\mathrm{d}^2}{\mathrm{d}x^2} =\frac{1}{x^2}\left(\frac{\mathrm{d}^2}{\mathrm{d}t^2} - \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\right)$$

これでやっと準備が完了です。これを元の式に代入すると…

$$\left(\frac{\mathrm{d}^2}{\mathrm{d}t^2} - \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\right)y +a \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t} y + by = R(x)$$ 

整理すると 

$$\frac{\mathrm{d}^2y}{\mathrm{d}t^2}  +(a - 1) \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t} y + by = R(x)$$ 

ところで、xは

$$t = \log x$$

$$x = e^t$$

と表されるから、

$$\frac{\mathrm{d}^2y}{\mathrm{d}t^2}  +(a - 1) \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t} y + by = R(e^t)$$ 

 これは一般的な非斉次形の2階微分方程式になっています。これなら簡単に解くことができますね!

 

少し技巧的な置換でしたが、もとの微分方程式の形がかなりわかりやすいので、そこまで難しくはないと思います。今回の問題は、置換がものを言う問題なので、この変形さえできてしまえば、普通に問題を解くことができると思います。そのためわざわざ演習の問題を解くことはしません。例題を一つ置いておきますので、解いてみてもらえればと思います。

 

【例題】

$$x^2 \frac{\mathrm{d}^2 y}{\mathrm{d}x^2} - x\frac{\mathrm{d} y}{\mathrm{d}x} - 8y = x^2$$

一度オイラー微分方程式を学習すると、もうそれにしか見えない形になっていますね。解答はこちらです。

 $$y = c_1 x^4 + c_2 c^{-2} - \frac{1}{8} x^2$$

$$c_1\, ,\, c_2 = const$$

 こちらの答えはすべて私の手計算です笑 もし間違っていれば教えていただけると助かります。