もちきのめも帳

大学院試験の勉強の過程で得た知識を備忘録として書いていきます。

微分方程式の解法【クレローの微分方程式】

はじめに

こんにちは。初めての投稿になります。
この「微分方程式の解法」では、大学院試験の教養数学でよく出る、微分方程式の解法をいくつかピックアップしていきます。
内容としては応用だと思います。一般的な線形の微分方程式とか、特殊解を持つものとか、それらはごくごく一般的な参考書に載っていますのでそちらをご参考ください。そのあたりのしか出ないようであればここまでの物は必要ないと思います。もし間違いとかあればコメント等でお知らせいただけますと幸いです。また、新しいものに遭遇したら更新する予定です。

クレローの微分方程式【導出】

$$ y = x \dot{y} + g(\dot{y}) $$

こちらがクレローの微分方程式というやつです。こだわりなのでLaTeXで書いています。ちなみに微分記号のdってイタリックで書くの 好きじゃなくて、いつもローマンに直しています。

話が逸れました。では解を導出します。 まず、両辺xで微分し、

$$ \dot{y} = x \ddot{y} + \dot{y} + g'(\dot{y}) \ddot{y}$$

これを整理すると

$$0 = \ddot{y} (x + g'(\dot{y}))$$

すなわち以下の二つが成り立ちます。

$$ \begin{equation} \ddot{y} = 0\\ x + g'(\dot{y}) = 0 \end{equation} $$

上は簡単で、yの二階微分に関する単純な微分方程式であるから、yの一階微分が定数であることがわかります。この定数をCと置 くことにより、この微分方程式の一般解は、

$$y = Cx + g(C)$$

となります。問題はもう一つの方です。

最初に申し上げますと、この微分方程式は特殊解はなく、特異解というものが存在します。定数Cをうまく定めても、次に求める方程式は得られないと言うことです。そもそも違う微分方程式を解いているので、言われてみればその通り、という感じではありますが。 それでは続きを進めていきます。 次のような変形をすれば、

$$x = - g'(\dot{y})$$

これを元の式に代入すると、次の2式が現れます。

$$y = - g'(\dot{y}) \dot{y} + g(\dot{y})$$

$$x = - g'(\dot{y})$$

これはすなわち、xとyを、yの一階微分を媒介変数として表示していることになります。ここから媒介変数を消去すれば、yとxの関係を表すことができます。ここに何ら かの定数が入る余地がないことがわかると思います。(なお、必ず媒介変数を消去できるわけではありません。)これが与えられた微分方程式の特異解となります。

 

はい。よくわかりませんね?笑(これだけで理解した方は本当に頭が良い人なのだと思います。私には不可能です…)

クレローの微分方程式【演習】

こういうものは基本、一般化されたものを見てもわからないものです。導出を見たら演習しましょう。実際に手を動かすことで定着します。例として、今回与えられた 微分方程式はこちらです。

$$y = x \dot{y} + (\dot{y} )^2$$

さっそく解いていきましょう。まず両辺微分して整理します。

$$\dot{y} = x \ddot{y} + \dot{y} + 2 \dot{y} \ddot{y}$$

$$0 = \ddot{y} (x + 2 \dot{y})$$

すなわち次の2式を解いていけば良いわけです。

$$\ddot{y} = 0$$

$$ 0 = x + 2\dot{y}$$

上の式はさっきと同じで、yの一階微分が定数になることから、それを元の式に代入し、

$$\dot{y} = C$$

$$ y = Cx + C^2$$

これが一般解です。とても簡単。次に特異解を求めにいきましょう。式を変形すれば、

$$\dot{y} = -\frac{1}{2} x$$

なんとyの一階微分を、xのみの式で表すことができました。(この時、うまくyの一階微分に関する陽関数表示ができない場合があります。その時は媒介変数表示のままで良いと思います。)これを元の式に代入すると、

$$y = -\frac{1}{2} x^2 + \frac{1}{4} x^2$$

$$ y = -\frac{1}{4} x^2$$

なんともきれいな式になりました。放物線になるんですね。これが特異解になります。

 

先ほども述べた通り、導出の過程で定数が入る場面がありませんでした。また、これは一般解の定数にいかなるものを入れても作ることはできません。(二次式なので) また、導出するときに違う方程式を解いているので、非斉次形微分方程式の特殊解のように、一般解に足して〜とかする必要もありません。これはこれで特異解という立派な解になります。  

 

ここまで書きましたが意外と疲れました。話のネタはまだありますので、後日更新していきたいと思います。またどうぞよろしくお願いいた します。