もちきのめも帳

大学院試験の勉強の過程で得た知識を備忘録として書いていきます。

微分方程式の解法【リカッチ方程式】

微分方程式

微分方程式も3つ目になります。リカッチ方程式が最後になるかもしれません。(今のところこの3つがわからなくて頑張って調べたものです)一般形はこちらになります。

$$\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} + p(x) y^2 + q(x) y + r(x) = 0$$

初見でこれだけ見たらよくわからないですね。でも問題の形を見れば解法は一発でわかります。例題はこんな感じです。

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【例題】

$$x^2\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}  - x^2 y^2 + xy + 1 =0$$

ただし、特殊解として

$$y = \frac{1}{x}$$

を用いて良い。

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はい、もう一発で普通の問題との違いがわかりますね。特殊解を指定されていますリカッチ方程式は、特殊解を用いると、線形な微分方程式になるという特徴があります。それではひとまず、一般形を用いて導出してみましょう。

リカッチ方程式【導出】

$$\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} + p(x) y^2 + q(x) y + r(x) = 0$$

※調べたら違う方法も出てましたが、せっかくなので自分で用いた導出を使います。

 

特殊解をy_0とします。一般解はg(x)とします。この時、この微分方程式の解は、一般解と特殊解の和で表されるので、

$$y = g + y_0$$

と表されます。これを与えられた微分方程式に代入します。

$$\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} = \dot{g} + \dot{y_0}$$

を用いれば、

$$\dot{g} + \dot{y_0} + p(x) (g + y_0)^2 + q(x) (g + y_0) + r(x) = 0$$

これを整理すると

$$\dot{g} + p(x)g^2 + 2p(x)g y_0 + q(x)g + (\dot{y_0} + p(x) y_0 ^2 +q(x)y_0 +  r(x)) =0$$ 

 ところで、y_0はこの微分方程式の解であるから、後半の括弧で囲まれた部分は0となるので、

 $$\dot{g} + p(x)g^2 + 2p(x)g y_0 + q(x)g =0$$ 

整理すると、

$$\dot{g} + (2p(x) y_0 + q(x))g = - p(x) g^2$$

ここで、

$$2p(x) y_0 + q(x) = s(x)$$ 

と置けば、

$$\dot{g} + s(x)g = - p(x) g^2$$

 となり、これはn = 2のときのベルヌーイ方程式に他ならない。

よって、

$$ u = g^{1 - n} = g^{-1} = \frac{1}{g}$$

と変数変換することにより、この方程式を解くことができる。

(ベルヌーイ方程式の解法自体は割と有名なので、ここでは割愛します。知らなければググってみてください。)

 

この微分方程式の解法も、特に公式を覚えるとかそう言うことはありません。

適切な手順を流れに沿って行っていくことが大事です。これに関しては、例題を手順に沿って解いてみましょう。

 

リカッチ方程式【演習】

【例題】

$$x^2\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}  - x^2 y^2 + xy + 1 =0$$

ただし、特殊解として

$$y = \frac{1}{x}$$

を用いて良い。

 

最初に挙げたものと同じ問題です。

求める一般解を

$$y = g + \frac{1}{x}$$

として、与式に代入します。これを整理すると、

$$\frac{\mathrm{d}g}{\mathrm{d}x} - \frac{1}{x}g = g^2$$

このようになるはずです。ここは辛抱強く計算するだけです。頑張りましょう。

これにより、式はベルヌーイ方程式に帰着できましたので、

$$u = \frac{1}{g}$$

と置換して、計算を進めましょう。

gを主語に置き換え、xで微分します。

$$g = \frac{1}{u}$$

$$\frac{\mathrm{d}g}{\mathrm{d}x} = \left(- \frac{1}{u^2}\right)\frac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x} $$

これを用いることで、式を整理すると、

$$\dot{u} + \frac{1}{x}u = -1$$

このようになります。

ついに一階の非同次系線形微分方程式になりましたので、ここまできたら公式にどんと入れてやりましょう。

$$u = e^{-\int \frac{1}{x} dx}\left(\int (-1)e^{\int \frac{1}{x} dx} dx + c\right)$$

$$u = A \frac{1}{x} \left(- \frac{x^2}{2} + c\right)$$

$$u = a x + c\frac{1}{x}$$

よって、

$$g = \frac{x}{ax^2 + c}$$ 

これが一般解である。(ただし、a,cは実定数)

 

以上で終わりとなります、 どうでしょうか。正直な感想、道のりが長いな…と言う感じですね。最後の計算はあってるとは思いますが、もし間違いなどございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

 

微分方程式の解法【オイラーの微分方程式】

オイラー微分方程式【導出】

こちらは難しい中でも頻出の微分方程式かと思います。特に私がやっている限り、東京大学工学院研究科の教養数学では何度かでているように見受けられます。東大志望は必須かもしれないですね。こちらがその微分方程式です。

$$x^2 \frac{\mathrm{d}^2 y}{\mathrm{d}x^2} + ax\frac{\mathrm{d} y}{\mathrm{d}x} + by = R(x)$$

 a,bは定数、右辺はxの関数として表されます。初見ではかなり面食らいますが、少し演習が多い参考書などですとたまに載っていたりします。この微分方程式は次の置換を利用して解きます。

$$t = \log x$$

 それでは解を導出していきましょう。まずはこの置き換えの式を両辺をxで微分します。

$$\frac{\mathrm{d}t}{\mathrm{d}x} = \frac{1}{x}$$

すなわち

$$\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}x} = \frac{1}{x}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t} $$

xによる一階微分の式が得られました。次に二階微分も求めましょう。両辺をもう一度xで微分します。

$$\frac{\mathrm{d}^2}{\mathrm{d}x^2} = \left(-\frac{1}{x^2}\right)\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t} + \frac{1}{x}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}x}$$

xによる一階微分を先ほど求めたものを代入すれば、

$$ \frac{\mathrm{d}^2}{\mathrm{d}x^2} =\frac{1}{x^2}\left(\frac{\mathrm{d}^2}{\mathrm{d}t^2} - \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\right)$$

これでやっと準備が完了です。これを元の式に代入すると…

$$\left(\frac{\mathrm{d}^2}{\mathrm{d}t^2} - \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\right)y +a \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t} y + by = R(x)$$ 

整理すると 

$$\frac{\mathrm{d}^2y}{\mathrm{d}t^2}  +(a - 1) \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t} y + by = R(x)$$ 

ところで、xは

$$t = \log x$$

$$x = e^t$$

と表されるから、

$$\frac{\mathrm{d}^2y}{\mathrm{d}t^2}  +(a - 1) \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t} y + by = R(e^t)$$ 

 これは一般的な非斉次形の2階微分方程式になっています。これなら簡単に解くことができますね!

 

少し技巧的な置換でしたが、もとの微分方程式の形がかなりわかりやすいので、そこまで難しくはないと思います。今回の問題は、置換がものを言う問題なので、この変形さえできてしまえば、普通に問題を解くことができると思います。そのためわざわざ演習の問題を解くことはしません。例題を一つ置いておきますので、解いてみてもらえればと思います。

 

【例題】

$$x^2 \frac{\mathrm{d}^2 y}{\mathrm{d}x^2} - x\frac{\mathrm{d} y}{\mathrm{d}x} - 8y = x^2$$

一度オイラー微分方程式を学習すると、もうそれにしか見えない形になっていますね。解答はこちらです。

 $$y = c_1 x^4 + c_2 c^{-2} - \frac{1}{8} x^2$$

$$c_1\, ,\, c_2 = const$$

 こちらの答えはすべて私の手計算です笑 もし間違っていれば教えていただけると助かります。

 

微分方程式の解法【クレローの微分方程式】

はじめに

こんにちは。初めての投稿になります。
この「微分方程式の解法」では、大学院試験の教養数学でよく出る、微分方程式の解法をいくつかピックアップしていきます。
内容としては応用だと思います。一般的な線形の微分方程式とか、特殊解を持つものとか、それらはごくごく一般的な参考書に載っていますのでそちらをご参考ください。そのあたりのしか出ないようであればここまでの物は必要ないと思います。もし間違いとかあればコメント等でお知らせいただけますと幸いです。また、新しいものに遭遇したら更新する予定です。

クレローの微分方程式【導出】

$$ y = x \dot{y} + g(\dot{y}) $$

こちらがクレローの微分方程式というやつです。こだわりなのでLaTeXで書いています。ちなみに微分記号のdってイタリックで書くの 好きじゃなくて、いつもローマンに直しています。

話が逸れました。では解を導出します。 まず、両辺xで微分し、

$$ \dot{y} = x \ddot{y} + \dot{y} + g'(\dot{y}) \ddot{y}$$

これを整理すると

$$0 = \ddot{y} (x + g'(\dot{y}))$$

すなわち以下の二つが成り立ちます。

$$ \begin{equation} \ddot{y} = 0\\ x + g'(\dot{y}) = 0 \end{equation} $$

上は簡単で、yの二階微分に関する単純な微分方程式であるから、yの一階微分が定数であることがわかります。この定数をCと置 くことにより、この微分方程式の一般解は、

$$y = Cx + g(C)$$

となります。問題はもう一つの方です。

最初に申し上げますと、この微分方程式は特殊解はなく、特異解というものが存在します。定数Cをうまく定めても、次に求める方程式は得られないと言うことです。そもそも違う微分方程式を解いているので、言われてみればその通り、という感じではありますが。 それでは続きを進めていきます。 次のような変形をすれば、

$$x = - g'(\dot{y})$$

これを元の式に代入すると、次の2式が現れます。

$$y = - g'(\dot{y}) \dot{y} + g(\dot{y})$$

$$x = - g'(\dot{y})$$

これはすなわち、xとyを、yの一階微分を媒介変数として表示していることになります。ここから媒介変数を消去すれば、yとxの関係を表すことができます。ここに何ら かの定数が入る余地がないことがわかると思います。(なお、必ず媒介変数を消去できるわけではありません。)これが与えられた微分方程式の特異解となります。

 

はい。よくわかりませんね?笑(これだけで理解した方は本当に頭が良い人なのだと思います。私には不可能です…)

クレローの微分方程式【演習】

こういうものは基本、一般化されたものを見てもわからないものです。導出を見たら演習しましょう。実際に手を動かすことで定着します。例として、今回与えられた 微分方程式はこちらです。

$$y = x \dot{y} + (\dot{y} )^2$$

さっそく解いていきましょう。まず両辺微分して整理します。

$$\dot{y} = x \ddot{y} + \dot{y} + 2 \dot{y} \ddot{y}$$

$$0 = \ddot{y} (x + 2 \dot{y})$$

すなわち次の2式を解いていけば良いわけです。

$$\ddot{y} = 0$$

$$ 0 = x + 2\dot{y}$$

上の式はさっきと同じで、yの一階微分が定数になることから、それを元の式に代入し、

$$\dot{y} = C$$

$$ y = Cx + C^2$$

これが一般解です。とても簡単。次に特異解を求めにいきましょう。式を変形すれば、

$$\dot{y} = -\frac{1}{2} x$$

なんとyの一階微分を、xのみの式で表すことができました。(この時、うまくyの一階微分に関する陽関数表示ができない場合があります。その時は媒介変数表示のままで良いと思います。)これを元の式に代入すると、

$$y = -\frac{1}{2} x^2 + \frac{1}{4} x^2$$

$$ y = -\frac{1}{4} x^2$$

なんともきれいな式になりました。放物線になるんですね。これが特異解になります。

 

先ほども述べた通り、導出の過程で定数が入る場面がありませんでした。また、これは一般解の定数にいかなるものを入れても作ることはできません。(二次式なので) また、導出するときに違う方程式を解いているので、非斉次形微分方程式の特殊解のように、一般解に足して〜とかする必要もありません。これはこれで特異解という立派な解になります。  

 

ここまで書きましたが意外と疲れました。話のネタはまだありますので、後日更新していきたいと思います。またどうぞよろしくお願いいた します。